震災のたびに被災し、どんどん姿を消していく土蔵。しかしそれらは、土地の風土や歴史を封じ込めたタイムカプセルのような存在です。
宮城県石巻にある国の名勝、齋藤氏庭園の敷地内にある土蔵はたび重なる地震によって被災、平成27年から修復が始まりました。その過程を丹念に追ったドキュメンタリー映画「石巻の土蔵から見える『世界』〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」の上映会を開きます。また、被災地の文化財の復旧に尽力した泉田英雄先生の講演、実際に修復に携わっている左官の小林隆男さんと当映画の監督である卜部弥生さんによるトークも行います。
どうぞお誘い合わせのうえ、ご参加ください。
◎フライヤーダウンロード(PDF:800KB)

[ 日時・会場 ]

2018年9月4日(火) 19:00〜21:00 (18:30開場)
せんだいメディアテーク 7階 スタジオシアター
(宮城県仙台市青葉区春日町2-1)

[ 参加費・お申し込み ]

一般 1,000円
日本左官会議会員・学生 800円
(当日入会可 支援会員・準会員/年会費 5,000円)
お申し込みフォームから事前予約の上、入場料は当日お支払いください。
いただいた個人情報は慎重かつ適切に管理し、第三者に提供することはありません。
ただし、当法人が関係する講演会やイベントなどのご案内には使わせていただきますので、どうぞご了承ください。

[ タイムスケジュール ]

19:00〜19:30 講演「東日本大震災と気仙沼の土蔵修復」泉田英雄
19:30〜20:15 映画上映「石巻の土蔵から見える『世界』〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」
20:15〜21:00 トーク&映像「土蔵修復の仕事をひもとく」
小林隆男(左官・齋藤氏庭園土蔵修復担当) × 卜部弥生(映像作家・「石巻の土蔵から見える『世界』〜齋藤氏庭園土蔵修復の軌跡」監督)

主催:公益社団法人日本左官会議

[ 登壇者プロフィール ]

泉田英雄 Hideo Izumida
博士(工学)・元筑波大学講師。気仙沼風待ち復興検討会理事、石巻市近代建築調査研究検討委員会委員をつとめ、震災で被災した文化財などの修復にも尽力してきた。

小林隆男 Takao Kobayashi
左官。滋賀県出身。文化財修復にも広く関わり、大崎市の旧有備館主屋の修復に参加。齋藤氏庭園土蔵修復に際しては宮城に移住し、アドバイザーとして参加。日本左官会議副議長。

卜部弥生 Yayoi Urabe
映像作家。NHKにて20年以上番組制作に携わる一方、歴史をひもときながら各地の魅力を紹介する映像作品を作り続けている。

[ 齋藤氏庭園土蔵とは ]

東北三大地主と称された齋藤家。明治中期、九代善右衛門は、農業分野での地域発展と子どもたちの教育支援に大きく尽力、政治に進出する一方、東北地方の学術振興にも大きな足跡を残した。往時は敷地内に多くの建物が建てられていたが、戦後、主屋をはじめ幾つかの建物は解体された。しかし九代善右衛門が明治後期に造成した庭園はいまなお素晴らしく、平成17年5月に国の名勝に指定された。
敷地内にあるふたつの土蔵はたび重なる地震で被災、東日本大震災が追い打ちをかけ、損壊した。そこで平成27年から、伝統的な技術を踏襲しつつ、現代の知恵を加えた本格的な修復が始まった。
山から土を採り、切り刻んだ藁を入れて寝かせてから、木小舞や竹小舞に手打ち。土が乾けば、新たに土を塗り重ね、縦横に縄を入れることを繰り返し、分厚い壁をつくっていく。冬には丸竹から竹釘をつくり、藁を刻み、手法を研究する。移りゆく季節のなかで、均一でない自然の素材にその都度向き合い、過去の職人の声に耳を澄ませながら、職人たちは土蔵の再生に力を注ぐ。