昨日、2018年8月29日(水)「NHKシブ5時」での「匠の技を無形文化遺産に!」特集が放映されました。視聴してくださった皆様、ありがごとうございました。

「日本が誇る匠の技を世界の無形文化遺産に!そんな夢のある取組を特集します」というナレーションにはじまり、最後は「伝統を未来につなげる会は『ユネスコへの申請にあたっては、幅広い職人を』ということで国にはたらきかけていくそうです」という結びの言葉で終わった特集は、17:35よりはじまり、予定より2分長い、17分間の放映でした。当会の目的を簡潔・的確に伝えていただけていたのが、とても嬉しかったです。

番組では、まずは、2013年に和食が登録されたことに触れながら「ユネスコ無形文化遺産」とはなにか、という定義にはじまり、2020年には「日本の伝統建築工匠の技」の登録申請が予定されているという状況説明があったあと「日本の伝統建築の匠の技」について、現場取材にもとづいた情報提供がありました、その中で、当会の会員の何人かか、「匠の技を無形文化遺産に!」という思いをそれぞれの立場で語っていましたので、それぞれのご紹介を兼ねて、感想と感謝の気持ちを述べさせていただきたいと思います。

後藤治 理事

まず、小江戸と呼ばれる、川越の蔵造りの町を案内しながら、城郭に学んだ防火構造の建築物としてこの町並みを築いた匠の技について語ったのは、当会の理事で後藤治(工学院大学理事長)です。開放感のある続き間の座敷をなりたたせている構造上の工夫や、石場建構造について「なるほど・・」と思うような解説で、この町を訪れる人にこの町のすばらしい風景を支えている「匠の技」を思い起こさせる、すばらしいものでした。

大工のジョナサンさん(岡山)

次に、当会の賛助会員である岡山県の杣耕社の大工、ジョナサン・ストレンマイヤーさんが、日本の伝統建築の驚嘆すべき精度や、それを裏付ける「心墨で組む」知恵について、木を組み上げたばかりの新築現場で語ってくれました。彼の前に、また、千葉大学建築学科 都市環境建築計画講座 歴史・保全再生教育研究分野 で教鞭をとられているモリス教授も出ておられましたが、おふたりとも流暢な日本語で熱く語る姿が印象的で、当事者であるはずの日本人よりも、外国人の方が「世界が見る、伝統構法のすごさ」に気がついているのかもしれないと、考えさせられました。

大工の綾部孝司さん(埼玉)

番組の後半では、当会特別会員である「職人がつくる木の家ネット」運営委員で、個人の賛助会員でもある綾部孝司さんが、伝統構法の「石場建て」で新築住宅をつくることのむずかしさについて、分厚い確認申請の書類を手に、訴えていました。「日本の伝統建築 工匠の技 を、幅広い形でユネスコ無形文化遺産に登録すること」が当会の当面の目標ではありますが、それを達成した先には「伝統構法がつくりやすくなる」ことをめざして、さらにがんばっていかなくては、という思いをあらたにいたしました。

くむんだーの子どもたち

「特集の最後を飾ったのは「職人応援宣言」にもたびたび登場してくれている、木組みのジャングルジム「くむんだー」で遊ぶ子どもたちの姿でした。みんなで協力しあい、夢中になって木槌をふるる子どもたちの楽しそうな笑顔を見ながら、日本の匠の技を未来につなげていきたいと心から思いました。

伝統を未来につなげる会は『ユネスコへの申請にあたっては、幅広い職人を』ということで国にはたらきかけていくそうです」という結びに勇気づけられて、目標に向けて邁進していきますので、引き続きの「職人宣言」「職人応援宣言」を、よろしくお願いいたします。